社内でできる評価者研修

人事評価の結果や評価者である上司に対する不満の声に悩む企業は少なくありません。人事評価に満足している社員は2割に過ぎないという調査結果もあります。人事評価制度の運用力を高めるためには評価者のスキルアップが何より重要です。評価者研修は社内でも実施できます。

評価者研修実施の背景

人事評価に多い不満

  •  評価基準が明確になっていない。
  • 評価者の価値観や経験で評価する。
  • 好き嫌いや先入観、イメージなどで評価する。
  • 仕事に関係のないこと(飲み会への参加など)まで評価の対象とする。
  • 評価結果を明らかにしない。フィードバックがない。
  • 評価と処遇が連動していない。

公平で納得性の高い人事評価

(1)経営戦略に合った評価項目

公平な評価をするためにはまず求められる要素を明確にして、評価項目を決めることです。経営戦略等から期待する内容を評価項目に定め、全社(部門)目標や方針に則った方向性を示すことで、社員は評価に関わる全体像を理解することができるようになります。

(2)難易度別の目標設定

同じ職種でも役職者とスタッフとでは求められる結果が違います。単なる数値目標の達成度だけでは公平な評価ができていることにはなりません。ふさわしい難易度を設定し、達成水準を明確にすることが求められます。その内容を評価者と評価される社員が理解していることが大切です。

(3)具体的な目標設定

抽象的であいまいな目標が設定されていることで、評価に主観が入り、基準が不明確になってしまうといえます。これは評価される側だけでなく、実際には評価者にとっても大きな悩み、負担になっています。目標管理では具体的な内容になっているか、数値化できているか等がポイントになります。

(4)目標の承認

設定した目標の優先順位、難易度、達成水準を上司・部下ですり合わせて、確定します。会社と社員の目標が一致したことになり、前向きなコンセンサスを得ることができます。

(5)明確な評価基準

共通の評価尺度を用いて評価ランク(評点)を設定し、公開します。達成度がわかりやすく、納得感のあるものにすることです。

(6)評価結果の分析

評価者による甘辛や部門による評価のばらつきなどを是正し、評価の視点や基準を合わせます。全社の評価基準が平準化されていきます。

(7)評価結果のフィードバック

事実に基づいた評価結果を通知し、なぜその評価になったのか理由も説明します。本人の認識と不一致があればその点を話し合い、取り組みの助言を行い、次の目標につなげます。

(8)評価と処遇の連動

目標の達成度により評価が決まり、その評価に応じて昇給や昇格・昇進(降格)を行うことが、フェアな人事評価制度の運用といえます。公平な人事評価が社員のモチベーションを維持するうえで重要です。

評価者研修の実施

研修の目的

  1. 人事評価の目的を理解する。
  2. 人事評価の手順を理解する。
  3. 人事評価の基準を理解する。
  4. 人事評価実施のルールと留意点を理解する。

グループワークで評価傾向を知る

  1.  構成メンバー全員が知っている部下(その場にはいない)がいるグループに分けます。
  2. その部下を各自で評価し、結果を記入します。
  3. 評価項目ごとに評価者間の点数の差について、理由を各自で発表し、グループ内で協議して評価を決定します。
  4. 自らの評価傾向について、認識をして、実際の人事評価に活かします。

ロールプレイングで疑似体験

  1. 上司と部下役を決めます。
  2. 部下のプロフィールや仕事上の課題を確認します。
  3. 実際の評価結果を伝える場面を再現します。
  4. 上司役の良い点や改善が必要な点をアドバイスします。

評価者チェック

□人事評価の意義、目的、ルールを理解しておくこと
□部下の仕事内容、等級基準、評価の着眼点を把握しておくこと
□評価者が陥りやすい人事評価のエラーを認識しておくこと
□日ごろから部下の行動を観察しておくこと
□評価対象期間外については考えないこと
□事実に基づいて評価すること
□自分の価値観で評価しないこと

 まとめ

評価者研修で一番重要なのは、評価基準の平準化です。レベルを合わせ、社内で同じ視点を持っていくということが公平な評価を行う基本となります。そのためには個人の感覚だけではなく、グループワークを取り入れて、複数の評価者がどのように考えているのか知る機会が必要です。自らの評価傾向に気づき、評価者としてのレベルがアップします。
併せて評価者(部門)による評価結果の甘辛をチェックして、評価の公平性、納得性を高めることで、さらに人事評価制度の運用力が向上します。
人が人を評価する限り、完全に不満をなくすことは難しいと感じるかもしれません。しかし、人事評価に不満を持つ社員が求めているのは、完全で厳密な評価というよりも評価結果に対する納得感です。適切な目標に前向きに取り組み、結果に納得できれば、また次にがんばろうと思えるのです。

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