行動・プロセス評価とコンピテンシーの有効活用

近年の人事評価では、目に見えない保有・潜在能力ではなく、目に見え、わかりやすい発揮能力・行動が注目されています。社員にとって、見えない能力より見える能力の方が納得性は高いといえます。成果だけでなく、成果につながるプロセスとのバランスを取って評価に取り入れる動きが大企業・中小企業ともに増える傾向があります。

行動・プロセス評価

人事評価制度では、社員の能力や成果を測定し、給与や処遇等を決定しています。評価には、能力、行動(コンピテンシー)、業績などの要素があり、企業が求める社員像によって決定されます。

人事評価の構造(例)

行動・プロセス評価のメリット

  •  仕事ができる人の行動特性(コンピテンシー)は、成果を上げるためのプロセス等を社員に示すことになる。
  • よりよい行動を引き出すことができる。
  • 行動改善につながり、社員の自己成長に効果的である。
  • 実際の行動、発揮された能力を評価するので、人事評価者のエラーが起こりにくくなる。
  • 成果と連動し、業績向上につながりやすい。

コンピテンシーとは

コンピテンシーは人事評価や人材採用、能力開発に用いられている「仕事ができる人の行動特性」です。個人の保有能力や業績ではなく、業績を上げるプロセスにおいて、発揮された能力、取るべき行動。人事評価でコンピテンシーを活用するのは、仕事ができる人の行動をモデルにすることで、成果を生み出す能力を向上させるためといえます。

コンピテンシーの登場

1970年代ハーバード大学の心理学者マクレランド教授らが採用時の成績差がない外交官の配属後の業績格差について調査研究を行い、高い業績を上げる人たちには共通の行動特性があることを見出し、コンピテンシーと呼んだことが始まりです。

日本企業のコンピテンシー活用

1990年代後半、成果主義の導入とともに大企業を中心に拡大。2000年代に入り、成果主義の見直しととも揺り戻しが起きましたが、成果とプロセスのバランスをとった評価の必要性から、再び有効性が注目されています。
自己成熟性
変化行動意思決定
対人(顧客)営業活動
組織チームワーク
冷静さ 行動志向 親密性/ユーモア 上司・先輩との関係
誠実さ 自立志向 第一印象度 チーム精神の発揮
几帳面さ リスクテイク プレゼンテーション力 ムードメーカー性
慎重さ 柔軟志向 傾聴力 マンパワーの結集
ストレス耐性 素直さ 条件交渉力 政治力
徹底性 自己革新(啓発) 新規開発力
率直性 チャレンジ性 顧客維持力
自己理解 反転志向 顧客拡大力
思いやり タイムリーな決断 人物の評価
ビジネスマナー 目標達成への執着 人脈
業務遂行 戦略・思考 情報活用 リーダーシップ
専門知識・革新技術の習得 視点の広さと深さ 情報の収集 理念・方針の共有
文章力 アイデア思考 情報の整理 経営の参画
計数処理力 論理思考 情報の伝達 部下・後輩の指導・育成
安定運用 状況分析 情報の活用と共有化 権限の委譲
処理速度 解決策の立案 情報の発信 部下・後輩への配慮
コスト意識 リスク管理 コミュニケーションの充実
トラブル処理 コンセプトの設定 指揮・命令・徹底
計画性 経営資源の活用 経営幹部との関係
業務改善/品質の向上 アイデアを活かす力 部下・後輩に対する公平さ
業務企画力 思考持久力 採用と抜擢

コンピテンシー導入のメリット

  • コンピテンシーを全社(部門)、職種、職位(等級)に応じて組み合わせることで、具体的な行動を示し、評価基準を明確にすることができる。
  • 対象が目に見える行動なので、評価がしやすい。
  • 組織全体の行動の質を高め、能力開発、人材育成を図ることができる。
  • 成果への連動が高く、業績向上を図ることができる。

中小企業・ベンチャーの活用法

社内に職種・職位毎にモデルとなる社員がいない企業であっても、自社にとって重要なコンピテンシーを選択することで有効に活用することができます。評価の公平性、納得性が強く求められるようになっていることが、コンピテンシーの注目を高めている理由のひとつです。

まとめ

2000年代には多くの企業で成果主義の見直しが行われ、近年では成果とプロセスのバランスを取る評価傾向が高まっています。人事制度は企業の経営理念や成長を支えるものでなくては意味がありません。企業の目的、方針に合わせて採用することが重要です。

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