賃金制度の見直しポイント

過去最大の最低賃金引き上げ、同一労働同一賃金、配偶者手当見直しの動きなど賃金制度を取り巻く状況が変化し、大きな転換期を迎えているといえます。今後、どのような賃金制度が企業の経営を支えていくことになるでしょうか。

賃金制度の見直し

1.賃金体系

(1)基本給

  • 仕事給:職能給、職務給、役割給、職種給、業績給など
  • 属人給:年齢給、勤続給など
  • 総合給:仕事的要素、属人的要素を総合的に決定する

(2)各種諸手当

  • 仕事手当:役職手当、技能手当など
  • 生活手当:家族(配偶者)手当、住宅手当、通勤手当など

(3)所定外労働に支払われる賃金

  • 時間外手当
  • 休日手当
  • 深夜手当など
日本の多くの企業では総合給を採用していますが、年功的な属人的要素は縮小、廃止の動きが高まっています。一般社員は総合給で、管理職は仕事給とする企業もあります。
手当については、目的がはっきりしないものはなくし、シンプルにする傾向があります。通勤手当以外の手当を廃止する企業も多くなっています。 一方で子育て世帯への支援を厚くする動きから、大企業では配偶者手当を子ども手当等へ振り替える流れがあります。
長時間労働の是正に関連して、労働法の改正が行われます。所定外労働の割増賃金は改めてのチェックをお勧めします。

2.支払い方法

(1)定額制

  • 時給制:時間単位の賃金で最低賃金の基準
  • 日給制:1日単位の賃金
  • 日給月給制:1日単位の賃金を1ヵ月まとめて支払うもの
  • 週給制:週単位の賃金、または1日単位の賃金を1週間分まとめて支払うもの
  • 月給制:月単位の賃金
  • 年俸制:1年間の賃金額を設定し、月1回以上の支払いの原則から分割して支払うもの

(2)出来高制

出来高を単位として支払うもの
雇用が多様化するなか、支払い方法も多様化、複雑化していくことが考えられます。月給制か日給月給制かなどルールを明確にしておくことがトラブルを避けるうえでも重要になります。

3.賃金の決定

(1)給与の決定

  • 年齢や勤続年数といった属人的要素
  • 職務の責任や難易度
  • 社員の能力や業務実績

年功的な属人的要素は縮小、廃止される傾向にあります。社員の能力や実績については、公平な人事評価を行うことが前提となります。それぞれの要素を総合的に決定することもあります。

給与の決定には会社からのメッセージが込められます。例えば会社が求める役割をしっかり果たしてほしい、成果を出してほしいという考えなのに、属人的な給与の決定をしていては、会社からのメッセージは届きません。実績を反映した給与の決定が必要となります。

(2)賞与の決定

賞与には、給与の後払い的な要素と、業務実績に対する報奨的な要素があるといわれています。しかし、時間外割増賃金を支払わずに、賞与で支払うのは法律違反になります。

賞与は基本的に業績に連動して支払うものといえます。業績には社員の実績と会社の経営実績という意味が含まれます。社員の実績については、人事評価の結果を反映させます。会社の経営状況に応じて柔軟に対応するには、基本給との連動部分の占める割合を低めにし、経営実績による変動部分を大きくすることです。

賃金チェック

会社の経営方針や戦略とマッチした給与を支給していますか?
手当等を支給する意図は明確ですか?
割増賃金は正しく支給していますか?

まとめ

何に対して給与や賞与を支払うのか?それは会社からの重要なメッセージです。給与の決定基準、仕組みを説明できることが大切です。

賃金制度にはその企業の風土、経営方針が表れますので、採用活動において、最も注目される条件のひとつです。人事評価を制度化していなくても、何の対価で給与が支払われるのか、どうすれば給与が上がるのかが伝わっていなければ、社員が意欲的に長く働くモチベーションにはつながらないでしょう。

給与や賞与は、会社の経営方針に従って決定し、自社の課題とリンクさせることで、より強い社員へのメッセージとなります。経営環境が大きく変わっている時代だからこそ、制度に経営者の想いが反映されているかどうかが、制度設計、見直しのポイントとなるといえます。

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