安全衛生・労働災害Q&A

安全衛生・労働災害

出社後の忘れ物による帰宅途中の事故は通勤災害になりますか?

社員が、会議用の資料を自宅に忘れて出勤してきました。上司の指示で取りに戻りましたが、途中の路上で事故に合い、ケガをしてしまいました。通勤災害として申請すれば、認められるのでしょうか。

A.指示命令があり、業務とみなされます。

通勤の定義は労災保険法7条にありますが、その基本パターンが「住居と就業の場所との間の往復」です。ですから、1回の勤務について往路と復路を1回ずつたどるのが一般的です。

ただし、「通勤は1日について1回しか認められないものではないので、昼休み等に帰宅する場合も、その往復行為は就業行為との関連性を認められる」と解されています。

このケースも自宅にいったん戻る形となりますが、個人の都合で帰宅したわけではありません。上司の指示で業務に関連のある書類を取りに行ったのですから、業務上の行為とみなすべきです。
また、この場合は交通災害ですから、通常の労災給付請求に合わせ、第三者行為災害届も提出します。

うつ病を発症した社員は業務上の疾病となるのでしょうか?

職場での人間関係がうまくいっていなかった社員が、うつ病で休業してしまいました。本人は、業務上で受けたパワハラによる精神障害で、労災だと主張しています。個人の性格によるもので労災ではないと考えているのですが、違うのでしょうか。

A.適応状況を見て性格傾向を判断します。

心理的負荷による精神障害の労災認定は、平成23年に「判断指針」から「認定基準」になり、具体的な事例等が増えて判断の迅速化につながりました。

労災と認められるのは、業務に関連した極度の心理的負荷や長時間労働といった「特別な出来事」や、業務上複数の出来事が重なり心理的負荷が強まった場合で、業務以外の心理的不可や個体側要因があると、労災にならない可能性があります。個体側要因については、既往症やアルコール等の依存状況の他、性格傾向もあります。

性格傾向は判断指針の当時から「生活史を通じて社会適応状況に特別の問題がなければ、個体側要因として考慮する必要はない」とされています。性格が偏っているというだけで個体側要因とはならず、本人の学校や職場におけるこれまでの適応状況も考慮して判断するものとされています。

健康診断を受診しない社員に対して会社は責任を負いますか?

定期健康診断の受診をしない社員がいます。何度も受診命令をしていますが、拒否しています。会社は責任を負うのでしょうか。また受診命令に従わない社員に対して処分はできないのでしょうか。

A.労働者の受診義務違反の罰則は設けていません。

事業者は労働者に対して雇入れ時および年1回の定期に健康診断を実施しなくてはいけません。これらの健康診断の結果を記録しておかなければならず(安衛法66条の3)、また診断の結果について、その必要があると認めるときは、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設又は設備の設置又は整備その他の適切な措置を講じなければなりません(安衛法66条の5)。

労働者に対しては健康診断の受診義務を課しています。ただし、事業者が指定する医師以外の医師による健康診断を受ける「医師選択の自由」を認めています。別の医師による健康診断を受けて、その結果を事業者に提出しなければいけませんが、労働者の受診義務違反に対する罰則は設けていません。
判例では健康診断の受診を職務上の命令とすることができ、受診命令違反に対して懲戒処分が認められています。

雇入れ時の健康診断は省略できますか?

中途採用する際、内定者に健康診断を行ってもらいました。従業員を新しく雇い入れるときには、法律で事業者に健康診断が義務付けられていますが、この健康診断を採用直前に行ったもので代用することはできるのでしょうか。

A.項目満たせば代用もできます。

労働安全衛生法66条で事業者に実施が義務付けられている健康診断として、常時使用する従業員を雇い入れたときには身長、体重、視力や心電図といった検査を行う必要があります。ただし、雇入れ3ヵ月以内に別途医師の診断を受け、その結果を証明する書面を提出した場合、検査する義務のある項目に相当するものについてはこの限りではありません。

検査が3ヵ月以内に実施され、必要な項目をカバーしていれば、雇入れ時の健康診断の省略も可能になりますが、採用前の健康診断については問題点も指摘されています。厚生労働省のガイドラインなどでは、危険・有害な業務で体質や健康状態を事前に把握する必要があるなど客観的・合理的な必要性がない限り、診断の結果で採用の可否を判断することが就職差別につながるとして、採用選考をするときには健康診断を行うべきではない、と示されています。

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