評価連動型の給与制度設計

年功的な給与制度や定期昇給は時代に合わなくなってきています。評価や貢献度に応じて給与を分配するには、定期昇給から給与改定にシフトすることが必要です。

評価連動型の給与制度

1.給与制度の方向性

(1)初任給水準

採用意欲が高まり、人材確保が難しくなるに伴い、初任給水準が上昇しています。新卒採用において初任給は非常に重要な条件のひとつですので、各種データを入手して、比較してみるとよいでしょう。

  • 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
  • 一般財団法人労務行政研究所「新入社員の初任給調査」
  • 各商工会議所の調査

(2)社員間の賃金格差

業務内容、能力に差がないのに、賃金に説明できない格差があると社員の不公平感が高まります。中途採用における社員とのバラつきはよく見られますが、是正できないままのことが少なくありません。また管理職と一般社員の給与水準が適正かの検証も必要です。

(3)効果的な配分

限られた人件費をどのように配分すれば、最大限の効果が期待できるのかを考える必要があります。通勤費以外の手当を廃止する傾向が続いており、退職金制度を持たない企業は多数あります。基本給に一本化するトレンドが自社に合うかどうかは個別に判断が必要です。

諸手当や退職金制度の有無は、会社の方針や価値観を表すメッセージでもあります。例えば定着率を上げたい会社が退職金制度を廃止するのは逆効果になる可能性があります。

2.諸手当の整備

(1)基本給に入らないもの

基本給は能力や職務内容、役割、人事評価など様々な要素から総合的に決定されています。貢献度に見合った処遇を実現する際に、諸手当は基本給として入れるべきではないものになります。

例えば、遠方から通勤している社員が遠い分だけ基本給が高いというのは不合理であり、基本給とは別の通勤手当として支給するのが合理的となるのです。

自社に必要な手当を改めて検討し、確定する必要があります。

(2)家族手当の検討

通勤手当や役職手当と同様に導入している企業が多い手当です。家族・配偶者手当を育児支援に転換する企業も増えています。

  • 子ども手当の増額
  • 教育手当の設定
  • 育成支援金の設定

(3)役職手当の検討

役職手当は7割以上の企業で支給されています。多くの企業で、管理職(管理監督者)として時間外割増賃金の支給対象外となる社員に役職手当を支給しています。

役職手当は、時間外割増賃金相当額を見込んで設定を行うことが重要ですが、最近は役職者としての役割の大きさに基づいて手当を設定したり、基本給そのものを役割給として支給するケースも増えています。

(4)残業代の検討

  • 管理監督者の範囲は適正か
  • 営業職の残業代は適正か

3.基本給の制度設計・改定

賃金等級表が最も多く採用されています。等級ごとの下限額を1号俸として、等級ごとに定めたピッチを足していったテーブルに基づき、昇給を実施する方法です。等級ごとに上限額も決めておきます。

(1)給与テーブル例

号俸 担当 リーダー マネージャー 部長
ピッチ 2500円 3000円 5000円 10000円
1 200,000 250,000 300,000 450,000
2 202,500 253,000 305,000 460,000
3 205,000 256,000 310,000 470,000
4 207,500 259,000 315,000 480,000
5 210,000 262,000 320,000 490,000
6 212,500 265,000 325,000 500,000
7 215,000 268,000 330,000 510,000
8 217,500 271,000 335,000 520,000
9 220,000 274,000 340,000 530,000
10 222,500 277,000 345,000 540,000
11 上限額まで 上限額まで 上限額まで 上限額まで

 

(2)給与テーブルにおける昇給例

人事評価の結果により、昇給する号俸数を決めておきます。基本形は5段階、マイナス査定なしのものが多いですが、より貢献度を反映するには、評価ランクを細かく設定することを推奨します。

<基本形>
評価ランク D C B A S
号俸数 0 1 2 4 6
<推奨例>
評価ランク D- D C- C B B+ A A+ S S+
号俸数 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6

 

(4)評価連動型給与のメリット

  • 会社業績に応じた給与配分が可能になる
  • 役割や貢献度に対する評価と給与の関係が明確になる
  • 実力に応じた給与が実現できる

まとめ

給与改定は定期昇給による自動的な賃金上昇を防ぎますが、事前の賃金シミュレーションを入念に行わないと、大幅な人件費アップにつながる可能性もあります。

評価に連動した給与制度の導入、運用には公平、適正な人事評価が前提条件となります。社員の人事評価への納得度が低い場合には、モチベーションダウンの恐れがありますので、評価者のレベルアップが求められます。まずは管理職から適用するというのもひとつの選択肢です。

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